自傷による頸部切創の症例

疾病名
頸部切創

キーワード
頸部外傷頸部切創自傷行為

年齢
40歳代

性別
男性

主訴
頸部切創

現病歴
10/13 4:30ごろ、宗教上の理由で包丁にて自分の頸部を切った。新聞配達の同僚が出勤してこない本人を心配し、家まで見にきてくれて発見されて救急要請。

既往歴
統合失調症

診察所見
意識レベルJCS Ⅰ-1 E4V5M6
頸部傍正中より左右の外側に横方向5cm程度の切創あり。胸鎖乳突筋に達するが止血は得られている。露出血管なし。

検査結果
CRP: 0.12 総蛋白: 5.9 アルブミン: 3.9 Na: 135 K: 4.0 BUN: 15 Cre: 2.68 WBC: 26.7(10^3/μL) Hb 13.0 Plt 300(10^3/μL) PT(秒): 13.5 PT(活性): 74 INR: 1.14 APTT: 22.4
血液ガス分析 pH :7.246 pCO2: 27.8 pO2: 224.2 HCO3-: 11.7 ABE: -14.2 AnionGap: 22.4 Lac: 10.6
画像所見:胸鎖乳突筋浅層までの深さの創 皮下気腫なし 気管との交通なし 大きな血管損傷なし 深頸部の血腫なし

検査結果
項目名 単位
総蛋白(TP) 5.9 g/dL
アルブミン(Alb) 3.9 g/dL
ナトリウム(Na) 135 mEq/L
カリウム(K) 4.0 mEq/L
CRP(C反応性蛋白) 定量 0.12 mg/dL
尿素窒素(UN) 15 mg/dL
クレアチニン(CRE) 2.68 mg/dL
血液一般検査 白血球数(WBC) 267 ×10^2/μL
血液一般検査 ヘモグロビン量(Hb) 13.0 g/dL
血小板数(Plt) 30.0 ×10^4/μL
プロトロンビン値  活性値 74 %
プロトロンビン値 INR 1.14
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間) 22.4

臨床経過
気道の損傷を認めず深頸部への出血も認めないことから気管切開せずに経過を診る方針とした。総武を生理食塩水にて十分に洗浄して局所麻酔下にナイロン糸にて縫合閉鎖。来院時は頻脈あり出血性ショック疑われたが血圧低下は認めず補液、ヘスパンダー投与にて経過を見たが16時の時点でHb8.6まで低下し収縮期血圧90台、脈拍120台とショックバイタルとなったため、RCC2単位輸血。10/14はバイタル安定しており、Hbは8.1と依然低値ではあったが追加の輸血はせずに経過観察。止血は維持されており創部の状態は問題なし。創部感染予防にcefazolin2g+clindamycin1200mg/dayで10/17まで抗生剤投与。Hbは9.0まで上昇したものの依然低値であったが起立時のふらつきなど貧血症状は認めず、精神科医の診察でも退院可能と判断し、10/17に退院。
10/21に外来受診し、創部を抜糸。特に問題なく終診とした。精神科的フォローはひきつづきかかりつけ精神科医への通院とした。


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