自傷による頸部切創で気管損傷を認めたが気管切開せず保存的に管理できた一例

疾病名
頸部切創

キーワード
頸部外傷頸部切創自傷行為気管切開術

年齢
70歳代

性別
女性

主訴
頸部切創

現病歴
うつ病にて近医通院中。10/12午前中に自殺企図で包丁により頸部と腹部を刺傷。救急搬送となった。

既往歴
うつ病、高血圧症

診察所見
来院時BP123/68 HR93 RR28 SpO2 100%(room air)
意識清明
頸部正中に複数の切創あり 一部が気管内と交通あり 腹部は臍の左側に切創あるが筋層までの深さで止血

検査結果
血液検査:CRP: 0.16 TP: 6.5 Alb: 3.4 Na: 139 K: 4.0 補正Ca: 9.3 BUN: 16 Cre: 0.69 glu: 241 WBC: 6.5(10^3/μ) Hb: 10.9 Plt: 229(10^3/μL) PT(秒): 12.4 PT(活性): 92 INR: 1.03 APTT: 21.4 FDP: 10.0 Dダイマー: 4.76

検査結果
項目名 単位
CRP(C反応性蛋白) 定量 0.16 mg/dL
総蛋白(TP) 6.5 g/dL
アルブミン(Alb) 3.4 g/dL
ナトリウム(Na) 139 mEq/L
カリウム(K) 4.0 mEq/L
カルシウム(Ca) 9.3 mg/dL
尿素窒素(UN) 16 mg/dL
クレアチニン(CRE) 0.69 mg/dL
血糖(グルコース) 241 mg/dL
血液一般検査 白血球数(WBC) 65 ×10^2/μL
血液一般検査 ヘモグロビン量(Hb) 10.9 g/dL
血小板数(Plt) 22.9 ×10^4/μL
プロトロンビン値  活性値 92 %
プロトロンビン値 INR 1.03
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間) 21.4
FDP 血漿 10.0 μg/mL
D-Dダイマー 定量 4.6 μg/mL(DDU)

臨床経過
止血得られていたが、頸部正中の創は気管を損傷しており、気道狭窄のリスクを考慮して緊急入院。腹部は一般外科の診察により皮下脂肪内の損傷と判断され、表皮を単純縫合して終了。気管切開が考慮されたが、呼吸状態落ち着いており、ERにて3時間経過観察して悪化を認めないため保存的に管理とした。創部は緊張により気道狭窄のリスクが考えられたため、開放創とした。感染予防にcefazolin2g+clindamycin1200mg/dayで10/17まで抗生剤投与。軽度の貧血は認めたがバイタル安定していたため輸血なしで経過観察。入院後特に問題なく経過し、気管の瘻孔も閉鎖したため、10/19に腹部の創を抜糸し、退院可能となった。
しかし、精神科医の診察では依然としてうつ状態が遷延していると判断された。本人は独居であるため、このまま自宅退院は再度自傷のリスクがあると考え、かかりつけ精神科と連携をとり、退院後に精神科病院に入院する手配をして10/21退院。


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